この記事で分かること
- 共働き夫婦の遺族年金が「夫死亡」と「妻死亡」でどれだけ違うか
- 夫が遺族厨生年金をもらえない制度上の盲点と、2028年の法改正
- FPに答え合わせして確認した、生命保険ゼロの判断基準と確認ポイント
「もし自分に万が一のことがあったら、家族は暮らしていけるだろうか」——共働き夫婦でも、子どもが生まれるとこの不安が頭をよぎることがあります。とくに子どもが生まれたタイミングや、保険を見直そうかと考え始めたときに、遺族年金がいくらもらえるのか気になる方は多いのではないでしょうか。
この記事では、年収700万+年収500万の共働き夫婦をモデルケースに、夫が亡くなった場合と妻が亡くなった場合で遺族年金の受給額がどう変わるかを具体的に試算します。私たちも同じような考え方で自分たちの家計を試算した結果、現時点では生命保険に加入していません。
ゆう第一子が生まれたとき、夫婦で「万が一のこと」を真剣に話し合いました。そのときの試算やFPに答え合わせした経験をもとに、この記事をまとめています。
遺族年金の受給額は収入・加入期間・子どもの年齢で大きく変わるため、この記事のモデルケースがそのまま当てはまるとは限りません。「自分の場合、遺族年金はいくらもらえるんだろう?」と気になった方は、ライフプランのプロに聞くのが最短です。
私たちが実際に相談した「マネーコーチ」では、万が一のときに遺族年金がいくら・いつまでもらえるかのシミュレーションもやってくれます。自分の収入・家族構成に合わせた具体的な受給額を出してもらえるので、「モデルケースではなく自分の場合を知りたい」という方は相談してみてください。保険の売り込みはなく、カメラOFFでのオンライン面談にも対応しています。
遺族年金の基本|2つの制度をサクッと理解する
遺族年金には2つの種類があります。ここでは、次のシミュレーションを読むために必要な最低限のポイントだけ押さえておきましょう。
遺族基礎年金は、国民年金に加入している人が亡くなったときに、子のある配偶者または子が受け取れる年金です。共働き・自営業に関係なく、子どもがいれば受給の対象になります。
遺族厨生年金は、厨生年金に加入している会社員・公務員が亡くなったときに、遺された配偶者が受け取れる年金です。金額は亡くなった方の収入(報酬比例部分)に基づいて計算されます。
まゆ遺族年金って1種類だと思ってた。2つあるんだね?
共働き夫婦の場合、夫婦ともに厨生年金に加入しているケースがほとんどです。つまり、どちらが亡くなっても「遺族基礎年金+遺族厨生年金」の両方を受け取れる——と思いきや、実はそう単純ではありません。この点が、次のシミュレーションのポイントになります。

受給できる人・できない人の基本条件
遺族基礎年金を受給できるのは、「子のある配偶者」または「子」です。ここでいう「子」とは、18歳になった年度の3月末までの子どもを指します。つまり、子どもが全員18歳を超えると、遺族基礎年金は終了します。
遺族厨生年金は、遺された配偶者や子が受給できます。ただし、ここに大きな落とし穴があります。妻が亡くなった場合、夫が55歳未満だと遺族厨生年金を受け取れません(現行制度)。 この点は次のH2で詳しく解説します。
夫が亡くなった場合|妻と子2人のシミュレーション
ここから具体的な試算に入ります。まずは「夫が亡くなった場合」から見ていきましょう。
モデルケース
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 夫 | 30代・大手メーカー勤務・年収700万円 |
| 妻 | 30代・会社員・年収500万円 |
| 子ども | 2人(未就学) |
| 住宅 | ペアローン(夫婦それぞれ団信加入) |
受給できる遺族年金
| 遺族年金の種類 | 年額(概算) | 備考 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 約133万円 | 子2人の加算込み。末子が18歳年度末まで |
| 遺族厨生年金 | 約45万円 | 夫の報酬比例部分の3/4。妻は終身受給可 |
| 合計 | 約178万円/年 | 月額で約15万円 |
※ 受給額は加入期間や平均報酬によって変わります。上記は2026年度の年金額をもとにした概算です。
遺された妻の収支イメージ
妻自身の手取りが年約390万円。ここに遺族年金約178万円が加わり、年間の収入は約568万円になります。さらに、団信(団体信用生命保険)により夫名義の住宅ローン残債がゼロになるため、住居費の負担も大きく軽減されます。
ゆう数字を出してみたら、思ったより余裕がありました。妻の収入+遺族年金+団信で、生活に困ることはなさそうです。
結論:夫が亡くなった場合、共働きであれば家計は黒字で回る可能性が高いです。
もちろん、育児と仕事の両立で大変な時期が続くことは間違いありません。ただし、「経済的に行き詰まる」という状況にはなりにくいことが数字から確認できました。
妻が亡くなった場合|夫と子2人のシミュレーション
次に、同じモデルケースで「妻が亡くなった場合」を試算します。
受給できる遺族年金
| 遺族年金の種類 | 年額(概算) | 備考 |
|---|---|---|
| 遺族基礎年金 | 約133万円 | 夫も「子のある配偶者」として受給可 |
| 遺族厨生年金 | 0円 | 夫が55歳未満の場合、受給対象外(現行制度) |
| 合計 | 約133万円/年 | 月額で約11万円 |
まゆえ、同じ共働きなのに、遺族厨生年金がもらえないの? 年45万円も差が出るの?
遺された夫の収支イメージ
夫自身の手取りが年約530万円。遺族基礎年金が約133万円加わり、年間の収入は約663万円です。団信により妻名義のローン残債も消滅します。
数字だけ見ると生活は成り立ちます。ただし、夫死亡時と比べると遺族厨生年金の年45万円がまるごとなくなるのが大きな違いです。さらに、遺族基礎年金は子どもが18歳を過ぎると終了するため、その後は夫の収入のみで生活することになります。
結論:妻が亡くなった場合も、このモデルケースでは生活は回ります。ただし、夫死亡時と比べて年間約45万円の差があり、余裕は小さくなります。

遺族厨生年金の男女差|なぜ夫は受け取れないのか
「同じように厨生年金を払ってきたのに、なぜ夫だけもらえないの?」と感じるのは自然な反応です。
この制度は、もともと「夫が外で働き、妻は専業主婦」という家族モデルを前提に設計されました。「夫を亡くした妻は自力で生活するのが難しい」という想定のもと、妻には手厚い保障がつけられた一方、「妻を亡くした夫は自分の収入で生活できる」とみなされたため、夫への支給には年齢制限が設けられたのです。
共働きが当たり前になった現在、この前提は実態と合わなくなっています。
ゆう同じ共働きで同じように保険料を払っているのに、遺される側の性別で受給額が変わるのは、率直に不公平だと感じました。
2028年の法改正で何が変わるか
この男女差に対応するため、遺族厨生年金の制度改正が予定されています(2028年施行見込み)。主な変更点は以下の2つです。
- 性別による年齢制限の撤廃: 夫も妻も同じ条件で受給できるようになります
- 60歳未満の受給者は5年の有期給付に変更: これまで妻には終身で支給されていた遺族厨生年金が、一定年齢未満の場合は5年間の有期給付になります
つまり、男女差はなくなる方向ですが、妻にとっては現行制度より受給期間が短くなる可能性もあります。改正の詳細は今後の国会審議で確定するため、最新情報は厚生労働省のサイトをご確認ください。
ここまでの試算は「年収700万+年収500万」のモデルケースです。遺族年金の受給額は収入・加入期間・子どもの年齢で大きく変わります。
「うちの場合はどうなるんだろう?」と思ったら、ライフプランのプロに試算してもらうのが確実です。マネーコーチでは、万が一のときの遺族年金シミュレーションを、あなたの収入・加入期間に合わせて出してくれます。私たちも実際に相談し、遺族年金の年次推移まで丁寧に試算してもらえました。
入力は3分で完了します。オンライン面談・カメラOFF対応・売り込みなし。
わが家が「保険ゼロ」を選んだ4つの理由
ここからは、上の試算を踏まえてわが家がどう判断したかをお伝えします。あくまで「私たちの場合」であり、すべての家庭に当てはまるわけではありません。
生命保険に加入していない理由は、次の4つの条件が揃っていたからです。
① 共働きで、片方の収入だけでも生活が回る
先ほどのシミュレーションのとおり、どちらが亡くなっても遺された側の収入+遺族年金で家計は赤字になりません。共働きであること自体が、最大のリスクヘッジになっています。
② ある程度の資産の蓄えがある
万が一の直後に収入が減っても、ある程度の期間は蓄えでカバーできる状態です。生活をすぐに変えなくても大丈夫という安心感が、保険に頼らない判断の土台になっています。保険料を払う代わりに、その分を新NISAでの積立に回しているのも大きなポイントです(→ わが家の新NISA戦略を詳しく見る)。
③ ペアローンで団信に加入している
住宅ローンは夫婦それぞれの名義で組んでおり、それぞれに団体信用生命保険がついています。どちらが亡くなっても、その方のローン残債はゼロになります。
④ 勤務先の福利厚生が手厚い
遺族への弔慰金や見舞金制度がある企業に勤務しており、公的保障に加えて企業の制度でも一定のカバーがあります。
+α 最悪のケースのセーフティネット
上の4つが保険に入らない積極的な理由ですが、それに加えて「最悪の場合でも詰まない」という安心材料があります。想定を大きく超える出費が発生した場合は、住宅を売却して資金を確保するという選択肢です。簡単な判断ではありませんが、「どうにもならない」という状況にはならない——その心理的な安全弁として考えています。
ゆうこの4つの条件を整理して、FPにも「この判断で問題ないですか?」と答え合わせしました。「現時点では生命保険は不要」という同じ結論をもらえたのが安心でした。
まゆ最初は不安もあったけど、ライフプランを作って数字で確認できたことで、「大丈夫だ」と思えるようになりました。
保険を何度も見直して最終判断に至るまでの詳しいプロセスは、こちらの記事にまとめています。

就労不能リスクはどうする?
FPとの相談の中で「検討の余地があるかもしれない」と言われたのが、就労不能保険(働けなくなったときの保障)でした。
検討した結果、以下の理由で現時点では加入していません。
- 会社員には傷病手当金(給与の約2/3、最長1年6ヶ月)がある
- 高額療養費制度と勤務先の付加給付制度で医療費の自己負担には上限がある
- ある程度の蓄えがあり、1〜2年は収入が減っても耐えられる
- 最終手段として不動産の売却で対応する選択肢もある
ただし、共働き・資産あり・団信ありという条件が揃っているからこその判断です。公的保障が薄い自営業の方や、蓄えが少ない時期は、就労不能保険を検討する価値があります。
あなたの家庭ではどうか?5つの確認ポイント
ここまで保険ゼロの判断とその理由を紹介してきましたが、家庭ごとに条件は異なります。大切なのは、自分の家計の数字をもとに判断することです。
以下の5つのポイントを確認すると、あなたの家庭に合った判断がしやすくなります。
① 遺された側の収入だけで、基本的な生活費を賄えるか
共働きで、どちらかの収入+遺族年金で生活が回るなら、生命保険の優先度は下がります。片働きの家庭や、遺された側の収入が少ない場合は、収入保障保険や定期保険で不足分をカバーする方法があります。
② 万が一のときに当面しのげる蓄えがあるか
生活を立て直すには時間が必要です。数ヶ月〜1年分の生活費が確保できていれば、焦らず判断できる余裕が生まれます。蓄えが少ない時期は、掛け捨ての定期保険でコストを抑えながら備える選択肢があります。
③ 住宅ローンに団信がついているか
ペアローンで団信に入っていれば、亡くなった方のローン残債はゼロになります。団信がないローンの場合は、残債がそのまま遺された側の負担になるため、その分を保険でカバーするかどうかを検討するポイントになります。
④ 勤務先の保障制度を把握しているか
弔慰金、遺族年金への上乗せ給付、グループ保険など、企業の福利厚生で手厚いカバーがある場合もあります。意外と知られていない制度もあるので、一度確認してみる価値があります。自営業・フリーランスの方は遺族厨生年金の対象外のため、この部分の保障が薄くなる点も確認しておきたいところです。
⑤ 子どもの人数と教育プラン
子どもの人数が多いほど、教育費の総額は大きくなります。「万が一のときに教育費をどう確保するか」は、保険の要否を考えるうえで重要な要素です。教育費の準備方法について詳しくは「教育費の貯め方|0歳から始めた3つの方法」で解説しています。学資保険の代わりに何を選んだかは「学資保険に入らない選択」もあわせてご覧ください。
まゆ家庭ごとに正解は違うので、自分の数字で確認するのが一番安心だよね。

すべてのポイントで「大丈夫」と確認できれば保険の優先度は低いですし、気になるポイントがあればそこを重点的に備えればOKです。どちらにしても、根拠を持って判断できれば、漠然とした不安はなくなります。
まとめ|気になったらプロに「答え合わせ」してみよう
この記事のポイントを振り返ります。
- 共働き夫婦の遺族年金は、「夫死亡」と「妻死亡」で受給額に大きな差がある(現行制度)
- 夫が55歳未満だと遺族厨生年金を受け取れないため、妻死亡時の方が保障は薄い
- 保険が必要かどうかは複数の条件で決まる——自分の数字で確認すれば、漠然とした不安は消える
私たちは自分たちで試算を作り、FPに「この判断で合っていますか?」と持ち込みました。結果、保険ゼロの判断に自信を持てるようになりました。わが家の資産形成の全体像は「資産推移全公開。結婚6年でそ3,000万円」で紹介しています。
遺族年金を含めた家計管理の全体像は、夫婦の家計管理3ステップ・ロードマップで整理しています。
家計の仕組み化を始めるなら、住信SBIの目的別口座で家計を仕組み化する手順を見る
ゆうこの記事を読んで「うちはどうかな?」と気になったら、それだけでFPに相談する十分な理由になります。漠然とした不安も、数字にしてしまえばスッキリしますよ。
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